ゲーセンで学ぶ経済学!UFOキャッチャーの確率機と親の役割とは?

真面目記事

最初に

この記事はゲーセンを批判するものではありません。

ゲーセンは子どもにとって最高の遊び場であり、親にとっては経済や心理を学べる教材の宝庫だと思っています。

そんな場所を提供していただける業界の方にはリスペクトを持っています。

ここでは「遊び場をどう切り取れば学びになるか」を探る視点で書いています。

UFOキャッチャーの確率機とは?ゲーセンで子どもに教えない経済学

時折、子どもにゲーセンに行こうとせがまれます。

私自身はゲーセンをそれほど好き好んで行くわけではありませんが、一緒に行くとどうせなら楽しもう、と思って子どもに付き合う感じです。

ただ、大人になって経済学をかじった身としては、ゲーセンは実に興味深い観察対象です。特にUFOキャッチャーの前で「あー!もうちょっと!」と叫ぶ我が子の後ろで、私は静かに確率計算をしている。

これは、そんな親の複雑な心境と、ゲーセンで見つけた経済学の話をしていきます。

UFOキャッチャーが取れない本当の理由|確率機の仕組み

まず、これを知らない人のために説明しておきましょう。

まぁ、ざっくり「設定した金額までお金を使うと、アームが強くなる機械」のようです。

様々な設定があるようなので、詳細はご自身でお調べくださいませ。素人の私からは断定的な説明はできません。

しかしその本質は説明できそうで「景品の取れやすさ」が「運営側が設定できる」仕組みでしょう。

反対にプレイヤーの実力依存の機械は「実力機」というらしいです。

一生懸命プレイして「あーもうちょっとだった!」とか言っている我が子を見ると、仕組みを知っている親側としては、まぁちょっと複雑な心境で眺めています。

心の中では「それ、確率がまだ来てないだけやないかな?」と思いながら。

エコノさんとヒューマンさんの寸劇

ここで、二人の親を想像してください。

【寸劇】UFOキャッチャーの前にて

エコノさん(合理的経済人の親) 「これ確率機やないか?数やらんとかアーム強くならへん。そのぬいぐるみ、Amazonなら1,000円。ここで2,000円使うなら買った方が得や」

子ども 「…(しょんぼり)」

ヒューマンさん(人間らしい親) 「うわー!惜しい!めっちゃ惜しかった!!次こそいけるで!!あ、でも今日は1,000円までな。その代わり全力で狙うで!」

子ども 「うん!!次こそ取る!!」

〜完〜

さて、どちらの子どもが幸せそうに見えますか?

ゲーセンで1000円渡す時の親の本音|期待値とエンタメ代の考え方

私が子どもにゲーセンでお金を渡すときは、必ずこうしています。

「プライズを取るもの」ではなく「その過程を楽しむもの」としてお金を渡す。

先に金額を限定して渡すのが絶対。「今日はこれだけで遊ぶよ、これ以上はあげない」と確実に釘を刺します。

そうでもしないと、確率機の罠にはまって際限なく「お金ちょうだい」と言われますから。

ここで更に経済合理的に考えるのは「ゲーセンで取るのと、おもちゃ屋で買うのとどっちがお得か」ということ。

どちらも利益を確保しなければならないから、本来比較するのは「店側の利益率がどのような構造か」を思考するといいんだけど、なかなかその内情まではわからない。

テナント家賃、店員さんの数、ゲームの数、客の量。そういったものが総合されて確率機の確率が設定されているわけですからね。

でも、取った後のプライズへの愛着、という点ではゲーセンに軍配が上がるでしょう。自分の腕前(そう思ってる)で取ったプライズの方が思い入れは強くなる。

多分、ゲーセンに行って家賃の想定、人件費、ゲームの数、客の量とか見ているの、私くらいだと思いますが。

取れやすいゲーセンは存在するのか?|利益構造から見る都市伝説

ちなみに「プライズが取れやすいゲーセン」なんて言われることがありますが、これも経済学的に考えると興味深い。

ゲーセンの利益構造は平均回帰するだろうから、取れやすいゲーセンなんてのも幻想かもしれない。

※平均回帰:長期的にはどの店も似たような利益率に収束するという考え方

もし本当に「取れやすい」店があるなら、それはどこかで手を抜いている証拠だと思う。人が少ない、家賃がめっちゃ安い、従業員の給料が低い、など。

あるいは、その店は間もなく潰れるかもしれない。

大手チェーンほどこの傾向は強いと想像する。システム化され、データ分析され、本部管理される。どこ行っても似たような感じになる。

むしろ外れ値(取れやすい店)があるとすれば、個人経営の小規模店かもしれませんね。オーナーの趣味的経営とか、設定ミスとか、「子どもに夢を」という理念とか。

でも、そういう店を見つけたら、それは経済的には「歪み」。いずれ修正されるか、消えていく運命にあると私は思う。

子どもの体験価値を10倍にする親の演技力|行動経済学的アプローチ

さて、ここが一番大事な話。

よく、プライズが取れなかったときに、合理的な親ほどこう言いがちです。

「だから取れないって言ったでしょ?」

「取れないようにできてるの」

「これ、お店で買ったら500円だよ」

どれもこれも理論的には理解できます。しかしながらこの発言、子どもの体験価値を破壊してるんです。

先のエコノさんとヒューマンさんの掛け合いを思い出しましょう。

1,000円の価値は、実は固定されていない。それは親の態度という「乗数」によって、10倍にも0.1倍にもなる。

親の反応という「乗数効果」

  • 親が一緒に悔しがる → 子どもの満足度 2倍
  • 親が冷める → 子どもの満足度 0.5倍
  • 親が否定する → 子どもの満足度 0.1倍

つまり親の態度は、体験価値の乗数なんです。

だから私は、取れなかったときこそ大袈裟に悔しがる。

「うわー!めっちゃ惜しかった!」

「さっきの角度、完璧やったのになー!」

「次こそいける気がする!」

100円の価値を全力で引き出す。それが親の仕事。

プライズを期待するな。ドキドキの対価、エンターテインメントへの対価として考えよ。

そして、そのドキドキを最大化するのは、親の演技力にかかっている。

不合理を演じ切ることの合理性

ここで面白いのは、「不合理を演じ切ること」が最も合理的だということ。

確率機だと知っている。期待値はマイナスだと分かっている。でも、あえて全力で楽しむ。これは矛盾ではなく、高度な経済合理性です。

なぜなら:

  • 価格は店が決める(コントロール不可)
  • 価値は自分が決める(コントロール可能)
  • だから価値を最大化することが、最適戦略

これは「騙されている」のではなく「演じている」。この違いが、同じ1,000円を天国にも地獄にも変える。

誤解しないでほしいのは、これはお金があるから言える話ではありません。むしろ限られた予算だからこそ、使った分の価値を最大化する必要がある。

月1,000円のゲーセン代なら、その1,000円から最大の幸せを引き出すのが真の経済合理性です。

まとめ:ゲーセンで最高のROIを出す方法

ゲーセンで学ぶ最大の経済学は、同じ1,000円でも、親の一言で体験の価値は10倍にも0.1倍にもなるということかもしれない。

確率機の確率は変えられないけど、体験の価値は親次第で変えられる。

だから今日も、子どもの後ろで確率計算しながらも、「惜しい!次こそいける!」と全力で悔しがる。

それが、ゲーセンで最高のROI(投資収益率)を出す方法。

経済学は理論立てた「冷たい学問」だと思われがち。でも本当の経済学は「限られた資源で最大の幸せを作る学問」。

それは時に、確率を知りながら大袈裟に悔しがることだったりする。

ゲーセンで確率を計算しながら全力で悔しがる親の姿こそ、21世紀の新しい経済合理性ではないでしょうか?

ゲーセンは経済学の教材の宝庫。今回はまだ序の口。今後も様々な切り口でゲーセンから学びを得ていきます。お楽しみに!

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