ダン・アリエリー『予想通りに不合理』を徹底解説!行動経済学の新たな発見とは?

書評

米田です。

私は読書が趣味でして、暇さえあれば本を読んでいます。本に飽きたら、また別の本を読んでいます。

そうして読んだ本の共通点や構造を日常生活に落とし込んだのが、この「構造で読み解く不合理」です。

ということで、私なりの本の書評をやりたいと思います笑

読んだ本の内容をアウトプットすることは、実は最も効果的に自分の中に取り込む手段だったりしますね。

私の自己研鑽にお付き合いください。

初回の本は「予想通りに不合理」ダン・アリエリー著です。

このブログのシリーズで「予想以上に不合理」というカテゴリーがありますが、これは完全にこの本のオマージュです。

オマージュを書くのに元ネタを紹介しないと皆さんポカーンとなると思いますので、まずは書評をさせてください。

内容は行動経済学ど真ん中。

全体を通じて、人間の意思決定のバイアスを実験で証明していく本です。

古典的な経済学では「人は合理的に行動する(=合理的経済人/ホモ・エコノミクス)」という前提があります。常に経済的に最適な選択をする存在だという考え方です。

でも実際の私たちは──衝動買いしたり、ついブランド品を買ったり、明日から節約しようと誓ったのにスタバに入ってしまったり──そんなに合理的じゃない。

『予想通りに不合理』は、

この“不合理さ”をむしろパターンとして捉え、「予想できる不合理」として明らかにしていく

そんな本です。

例えば、アリエリー先生の本で有名な内容があります(多分聞いたことある方もいるのでは?)

新聞の購読料について

  1. 月3,000円のweb版のみ
  2. 月5,000円の紙媒体のみ
  3. 月5,000円の紙媒体+web版

という購読プランがあった場合、人間は最後の選択肢を選びやすいといった内容が書かれています。

これは、2番目の選択肢がまるっと3番目の下位互換ですよね?こういった選択肢を「あえて」用意することにより、より高額な3番の購読に誘導するといったテクニックが記載されています。

こうした設計は囮効果(デコイ効果)と呼ばれ、見せ方が選択肢を動かすことを教えてくれます。

意図的な下位互換があると、それよりも優越な選択肢を選びやすい、というわけです。

実は2番目の選択肢を除くと、3番を選ぶ人がかなり少なくなるそうです。2番目は完全な囮なんですね。

本文には、これを人間関係やマーケ施策に応用する“小ワザ”も出てきます(ここはぜひ本文で。ちょいブラック寄りでニヤッとします笑)。

もう一つ有名な事例をご紹介します。

イスラエルの託児所で、子どもの迎えに遅れてくる親に罰金制度を導入したそうです。

遅刻が減るだろうと目論んだ託児所でしたが、驚くべきことに逆に遅刻は増えてしまった。

親たちは「お金さえ払えば遅れても良い」という市場原理で考えるようになってしまったのです。

上述の合理的経済人なら、遅刻してもコストゼロだから痛くも痒くもない。でも現実の人間は“罪悪感”というコストを計算に入れてたんですね。

この人間関係に市場原理を持ち込むとどうなるか?結果は明白で、「罰金=延長保育料」というスキームが出来上がりました。これは人間特有の「罪悪感」という不合理な感情をお金で取り払ってしまった結果の現象なのです。

ここまでをまとめると、「予想通りに不合理」とは「人間の不合理な行動だけど、それは予想できる」という内容なんです。だからこの本は「人間不合理の取扱説明書」みたいな感じでしょうか。

さて、そんな本を書いたアリエリー先生とはどんな人物か。

話は少々ニッチな領域に入りますが、行動経済学の大家として

  • ダン・アリエリー
  • ダニエル・カーネマン
  • リチャード・セイラー

という3人がいます。今後残り2人の著書も紹介したいと思っていますが、アリエリー先生は一番語り口がフランクです。他の2名の先生は結構きっちりとした文体で、初めて行動経済学を学ぶ人には少々とっつきにくいところがあります。

※専門家の方へ。もちろんエイモス・トヴェルスキーも把握しています。でも今は3人に絞りましょう。

日本人著者でも行動経済学の書籍は多数ありますが、上記3人の本を引用していることが多いので、深く行動経済学を学ぶと行き着く先はこの3人です。

この大家3人のうち最初に読むなら、アリエリー先生が一番良いでしょう。初学者でも読みやすいですし、読むと日常生活のふとした選択時に「予想通りに不合理と同じシチュエーションじゃないか?」と気づくことがあると思います。

実はアリエリー先生は若い頃の大火傷の体験から、「痛みや恐怖が意思決定をどう歪めるか」に強い関心を持つようになったそうで、冒頭のエピソードにも人間味がにじみます。

私のオマージュ「予想以上に不合理」は、特に子どもの「予想できそうだけど、その斜め上を超えていくカオスな振る舞いとそれに悩む親の苦悩」について書いています。彼らの行動は多分アリエリー先生たちでも読めないでしょう。なんで水たまりを見つけるとダイブするんだよ笑。それで「靴下濡れたー」とか言うんじゃないよ。

ということで、最初の書評はダン・アリエリー先生の「予想通りに不合理」でした。

一つの項目ごとに読めるから、スキマ時間でも読みやすいですよ。ご興味を持たれたらぜひ手に取ってみてください。読んだあとはきっと「これ囮じゃん」と笑える瞬間が増えますよ。

今後はカーネマン先生セイラー先生の名著も、米田視点でこねくり回していきます。ご期待ください。

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