ゴルディロックス原理・コンプロミス(妥協)効果・囮(デコイ)効果の違いとは?|3つの「真ん中選び」の正体
行動経済学や心理学でよく登場する「ゴルディロックス原理」「コンプロミス(妥協)効果」「囮効果」。
どれも「真ん中を選ぶ」という共通点があるように見えますが、実はそれぞれ全く違う次元の話なんです。
Googleで検索してみても、混同して書かれていたり、一面的な説明で終わっていたり。「松竹梅の竹を選ぶよね」で全部説明した気になってる記事が多い印象です。
今回は、この3つの違いをスッキリ整理して、日常生活に落とし込んで解説します。
なぜ混同されやすいのか?|「真ん中」というキーワードの罠
1. 表面的には全部「真ん中を選ぶ」現象
- ゴルディロックス原理:熱すぎず冷たすぎず「ちょうどいい」を選ぶ
- コンプロミス効果:松竹梅の「竹」を選ぶ
- 囮効果:囮があると「真ん中より上」を選んでしまう
パッと見、全部「真ん中」の話に見える。でもこれが大間違いの元!
2. 学問分野がバラバラ
- ゴルディロックス原理 = 生理学・心理学(本能の話)
- コンプロミス効果 = 行動経済学(心理バイアスの話)
- 囮効果 = マーケティング(販売テクニックの話)
畑違いのものを同じ土俵で語るから混乱するわけですね。
3. 多くの解説が浅い
「ポップコーンのサイズ」「料金プラン」みたいな単一の例だけで説明して終わり。本能→バイアス→操作という「段階の違い」まで踏み込んでいない記事がほとんどにみえます。
それぞれを5行でまとめ|本能・バイアス・罠の違い
ゴルディロックス原理|生理的な「ちょうどいい」センサー
- 人間や動物に備わった根源的な生理現象
- お風呂の温度、部屋の明るさ、味付けの濃さなど
- 極端を避けて「中庸」を求める生理的メカニズム
- まだ「心理バイアス」ではなく、もっと原始的な反応
- 「ちょうどええやん!センサー」が人類標準装備
コンプロミス効果|真ん中を選ぶ心理バイアス
- 選択肢が複数あるとき、極端より「中間」を無難に感じて選びやすくなる現象
- 松竹梅があったら竹、S・M・LならMを選びやすい
- 「安すぎて不安、高すぎて手が出ない」という心理
- 極端を避けて無難を選ぶ「思考のショートカット」
- 「真ん中買っとけば間違いないやろ病」
囮効果(デコイ効果)|販売側が仕掛ける罠
- 消費者の心理バイアスを「逆手に取った」マーケティング手法
- 売りたい商品の下に「当て馬」を置いて誘導
- 真ん中ではなく「上」を選ばせるための仕掛け
- 消費者は選んでいるつもりで、実は選ばされている
- 「当て馬使って上に誘導する技」
3つの違いを米田語で整理|センサー・病気・技の三段構造
概念 | 位置づけ | 特徴 | 具体例 |
---|---|---|---|
ゴルディロックス原理 | 生理的本能 | 極端を避け「ちょうどいい」を選ぶ | お風呂の温度、快適な部屋の気温、適正な味付け、人間関係の距離感 |
コンプロミス効果 | 心理バイアス | 中間を無難と感じて選ぶ | 料金プランで真ん中を選ぶ、家電でエントリー/標準/ハイエンドとあると標準を選ぶ |
囮効果 | マーケティング操作 | 囮を置いて狙った選択肢に誘導 | 雑誌の購読プラン、ポップコーンサイズ、家電量販店の価格設定 |
ほら、全部土俵が違うでしょ?
- センサー(ゴルディロックス)
- 病気(コンプロミス)
- 技(囮)
これを混同して語るから、わけわからなくなるんです。
米田語解説|赤ちゃんから社会人まで、人生は3段活用
人生のステージで見る3つの違い
【赤ちゃん時代】ゴルディロックス原理
- ミルクの温度が熱すぎると泣く
- 部屋が暗すぎても明るすぎても寝ない
- 「ちょうどいい」を本能で探る時期
【学生時代】コンプロミス効果
- 学食で「並盛」を選ぶ
- テストで「中間点狙い」
- 目立たず沈まず、無難に過ごす心理
【社会人時代】囮効果にハマる
- 「月々プラス500円でこちらがお得ですよ」
- 「せっかくだから上位プランに…」
- 売り手の罠にまんまとハマる日々
人間の成長と共に、本能→心理→罠へと進化?しているのですね(笑)
日常生活での見分け方
仕事中…
- オフィスの温度を26℃に設定 → ゴルディロックス
- 会議で「中間案」を支持 → コンプロミス
- 営業に「松竹梅」を提示される → 囮効果
家具を買うとき…
- ソファの柔らかさが硬すぎても沈みすぎても嫌。中くらいが快適 →ゴルディロックス
- 2万円・5万円・12万円のソファなら「5万円」を選びやすい→コンプロミス
- 11万円のソファをわざと置いて「12万円の方がコスパ良い」と見せかける→囮効果
ヒューマンさん×エコノさん劇場|3つの違いを掛け合いで理解
【家電量販店にて】
ヒューマンさん:このドライヤー、梅・竹・松ってあるけど、竹でええやろ?
エコノさん:待て待て。それコンプロミス効果にハマってるで。
ヒューマンさん:えっ?でも真ん中が一番ちょうどええやん。
エコノさん:それはゴルディロックスや。今のは心理バイアスの話。
ヒューマンさん:何が違うねん?
エコノさん:ゴルディロックスは「風の温度がちょうどいい」とかの話。コンプロミスは「値段見て真ん中選ぶ」心理や。
ヒューマンさん:ほな、囮効果は?
エコノさん:見てみ、梅は19,800円、竹が39,800円、松が44,800円。松と竹は5,000円差やで。これ竹が当て馬や。
ヒューマンさん:当て馬?
エコノさん:松を売るために、わざと竹を微妙な価格にしてる。「あと5,000円で…」思わせる作戦や。
ヒューマンさん:…結局どれ買えばええねん。
エコノさん:梅の機能で十分ちゃう?そもそもドライヤーにそんな機能いる?
ヒューマンさん:でも梅は恥ずかしい…
エコノさん:はい、また心理バイアス(笑)
まとめ|本能→バイアス→操作の三段活用を見抜く眼を持とう
結局のところ:
- ゴルディロックス原理 = 生まれ持った「ちょうどええ」センサー(本能)
- コンプロミス効果 = そのセンサーが選択場面で暴走する病(バイアス)
- 囮効果 = その病を利用して売り手が仕掛ける罠(操作)
本能 → バイアス → 罠
この三段活用を理解すれば、日常の選択をもっとクリアに見抜けます。
次に買い物するとき、自分に問いかけてみて:
- 「これは本能的にちょうどいいのか?」(ゴルディロックス)
- 「ただ真ん中だから選んでないか?」(コンプロミス)
- 「当て馬に踊らされてないか?」(囮効果)
この3つの質問で、あなたの選択は変わるはず。
赤ちゃんの頃の「ちょうどええミルク」から始まって、学生時代の「松竹梅の竹」を経て、社会人になって「当て馬商法」にハマる。
これが人間の成長(?)ストーリー。
でも知識があれば、罠は罠じゃなくなるね!
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