子どもはなぜ荷物を持ちたがる?|公園と損失回避の心理
子どもと公園に行くとき、あなたもこんな経験ありませんか?
「これとこれとこれも持っていく!」
子どもが次々と荷物リストに追加していく品々。ストライダーに、ボール、虫取り網、お気に入りのぬいぐるみ…。
そして親はため息をつきながら「本当に全部必要?」と尋ねるも、「絶対に必要!」と断固たる返事。
なぜ、子どもたちはそんなに多くの荷物を持って行きたがるのか?
そして私たち親はなぜイライラするのか?
その謎を行動経済学の視点から解き明かしてみます。
ストライダーは親の筋トレアイテム
子どもと公園に行くとき、なぜか「乗っていく!」と張り切って持ち出すストライダー(足で蹴って進むキックバイク)。
でも実際に公園に着いたら乗るのはたかだか数分。
その後すぐに発せられるのが、
「アスレチックで遊ぶ。乗らないから持ってて!」
以降、親がせっせと運ぶ「ただの重い荷物」に早変わり。
…そう、ストライダーは子どもにとって移動手段ではなく、親の筋トレアイテムなのです(笑)。
子どもは「損失回避」で動いている
一方で子どもが「これは絶対持っていく!」と主張する時、そこにはちゃんと理由があったりします。
例えばうちで実際にあったのがこんなエピソード。
ふらっと子どもと公園に行ったとき、虫取り網と虫かごを持って行かなかったんです。
偶然そこで遭遇する友達。なにやら楽しそうに数人で虫取りをしていました。
自分も虫取り網ほしいとごねる子ども。自分だけ友達の後ろについていくだけ。寂しい思いをした──。
そんなエピソードのあとから、ウチの子どもは公園いくよ、というと「虫取り網持った?」と確認するようになりました。
おそらくよほど悔しく、寂しかったんでしょうね。
つまりこれは 過去の”損失”を二度と味わいたくない! という心理から生まれた行動。
行動経済学でいうところの 損失回避の学習効果 です。
ストライダーだって、「乗りたい」気持ちの裏には「飽きたときや遊具が混んでたときの損失を避けたい」というリスクヘッジの発想も潜んでいるのかもしれません。
(まぁ子どもはそこまで言語化してないでしょうけどね笑)
親と子のリスク評価のズレ
そもそも、公園に持っていく荷物なんて親と子供で選ぶ基準違うんですよ。パラダイムが違うとも言えるかも。
- 子ども側:「楽しみを逃す損失」こそ最大のリスク
- 親側:「荷物が重くなる損失」こそ最大のリスク
まったく別の損失回避が働いていて、しばしば衝突します。
「持っていく?持っていかない?」の攻防は、実はリスクとベネフィットの評価基準のズレから起きているわけです。
親の「荷物重いやん?持つのパパやん?」などという言葉など、子どもの評価の中には優先順位の下の方(笑)。
「パパの重いとか知ったこっちゃないわ!最近弛んでるし筋トレしときや?」
くらいのノリで捉えているかもしれません。
公園荷物戦略
では、どのように対応していけばいいか?損失回避とリスク評価のズレを埋めればいいわけですね。例えば以下のようなもの
- 荷物を絞るために、持っていくなら自分で持つ約束をして持って行く。せめてタオルや、砂場セットみたいな、軽いものだけでも子ども自身で持つように促すと違うかもしれません。荷物が増えると、自分が多少なりとも荷物を持つという損失を体感させ、親とのズレを埋めにいきます。
- 上記に加えてズレを埋めに行くには、少々手厳しいですが、「持って」と泣きつかれてもあえて断る。自身で持つ苦労を少し体感させましょう。次回ちょっと変わるかも(もちろん様子を見ながらね!!)
- 現地で遊ぶものを調達するのもいいですよね。松ぼっくりやどんぐり、木の枝だけでも結構子どもは遊びますよ。つまりストライダー以上に楽しく遊べば、「持ってこなかった」という損失を感じなくさせることができるということです。
- ストライダーもちょっとお高い軽いモデルがあったはず。子どものためという気持ちでなく、親の体力のために初期投資で軽いモデル買っておいたほうがいいかも。うちは重いの買ってしまった(笑)
※ストライダーを1時間程度抱え続けた経験のある親御さんなら、初期投資で軽いもの選んでおけば、という後悔理解いただけると思うんだよなー
大人にもある「損失回避の荷物癖」
子どもの荷物論争で話してきましたが、結局大人も一緒ですよ?
- 旅行のときに持って行く、充電器や常備薬、モバイルバッテリー、カメラやレンズも。
- 使わない折り畳み傘を1日中持ち歩く。
- なかったら困ると余分に買っている調味料
- 使うかもと思ってためてるポイントカード
- 着るかもといって、2年くらい着ていない服
ほらほら、1つくらい思い当たることあるでしょ?
ギクッとした方は、明日からストライダーで筋トレしましょう(笑)。
まとめ:公園はリスク実験場
公園に行くときの荷物論争は、単なる親子バトルではなく、行動経済学の実地フィールドワークそのものでしたね。
- 子どもは「社会的損失」を回避しようとし、
- 親は「体力的損失」を最小化したい。
このズレが、公園という日常の舞台で毎回繰り広げられるのです。
「予想以上に不合理」なのは、子どもだけでなく──親も含めた私たち全員なのかもしれません。
おまけ
次の公園に行く機会「ストライダーもってくでー?」と一応聞くと
「今日は疲れてるからいらん!」
と答えられました。
……やっぱり「予想以上に不合理」や(笑)。
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