割れ窓理論とは?軽微な違反が犯罪を誘発する理由

用語解説

各術用語を辞書的、そして最後は米田節で解説するコーナーです。

3分で読めるまとめです。

割れ窓理論とは

割れ窓理論(Broken Windows Theory)は、1982年にジェームズ・Q・ウィルソンとジョージ・ケリングによって提唱された犯罪学の理論です。この理論は、環境の荒廃や軽微な秩序違反が放置されると、より深刻な犯罪や社会問題につながるという考え方に基づいています。社会系本を読むとよく引用される理論です。

理論の基本概念

この理論の名前は、「建物の窓が割れたままにしておくと、他の窓も間もなく割られるだろう」という比喩から由来します。つまり、小さな問題(割れた窓)が放置されると、それが社会の秩序が乱れていることを表す合図となり、さらなる破壊行為や犯罪を誘発するという考え方です。

実社会での応用例

  • ニューヨーク市の犯罪対策:1990年代、ニューヨーク市警察は割れ窓理論に基づき、軽微な犯罪(落書き、公共交通機関の無賃乗車など)に対して厳しく取り締まる「ゼロ・トレランス政策」を実施。その結果、犯罪率が大幅に減少したとされています。
  • 企業文化への応用:職場環境において小さな問題や不正行為を見過ごすと、より深刻な倫理的問題に発展する可能性があるという考え方にも応用されています。
  • コミュニティ再生:荒廃した地域の再生プロジェクトにおいて、まず環境美化から始めることで住民の意識改革を図る取り組みにも影響を与えています。

批判と議論

割れ窓理論は広く受け入れられている一方で、実証的な根拠が不十分だという指摘もあります。また、この理論に基づく政策が特定の社会集団に対する差別的な取り締まりにつながる可能性についても議論されています

まとめ

割れ窓理論は、小さな問題が放置されることで大きな問題へと発展するという社会現象を説明する重要な概念です。犯罪学だけでなく、企業経営、コミュニティ開発、公共政策など様々な分野で参照される理論となっています。

米田さん語version 洗濯物から学ぶ割れ窓理論

軽微な違反が犯罪や秩序というと、日本で当てはめるのはかなり厳しい。日本の場合は基本的な犯罪率が米国と比較すると極めて低いだろうし。

それでも最近の空き家の放置に対する政府の対策などを鑑みると、同じような懸念をしている人は一定数いるのかなぁと想像します。

確かに空き家で窓が割れてて、手入れされていない家が近くにあると、ちょっと怖いなという印象持ちますよね。

これをもっともっと拡大解釈+スケールダウンして見てみると、参考になることはたくさんありそうとは思うけど。例えば

  • 1枚畳まなかった洗濯物があると、いつの間にか山積みになっている。もういいやとなって洗濯物どころか、部屋すべてが散らかりっぱなし。
  • 1枚洗わなかった食器があると、これもいつの間にか山積み。
  • 子どもに障子に1個穴開けられると、もういいや(笑)。

おいおい、それは拡大解釈しすぎやろ?とツッコミが入るかもしれませんけど、アメリカの治安の話を外挿するとなると、これくらいコミカルな内容ではないと腑に落ちないとも思うので、ご容赦ください。

割れ窓理論も上述の通り議論もあるみたいです。ゼロ・トレランスというとかっこよく聞こえますが未だ人種差別などが社会問題化するアメリカではこの政策は人種差別・格差の温床だ、という指摘もあったみたい。

そもそも割れた窓が犯罪率の変化(低下)を本当に説明できるのか?という問題もあるし、他の交絡因子が効いている可能性も高い。

私達の日本で、しかも家庭や職場の文脈なら、「軽微な違反がルール違反を誘発する」くらいのニュアンスで捉えておくくらいがちょうどいいと思う。

もっと噛み砕いて家庭に落とし込めば「洗濯物1枚放置→部屋カオス」理論やね(笑)

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