囮効果とは?消費者心理を利用した賢い選択法
囮効果(デコイ効果)とは、消費者行動や意思決定の心理学において見られる私たちの判断を狂わせる心理トリックの一種です。人が複数の選択肢から選ぶ際、比較対象として機能する「囮」の存在によって、特定の選択肢への選好が変化する現象を指します。
囮効果の基本原理|なぜ囮があると選択が変わるのか
囮効果は、選択肢A、C、そして「囮」となる選択肢Bがある場合に発生します。選択肢Bは、選択肢にC類似しているものの、明らかに劣っている特徴を持ちます。このとき、選択肢Bが存在することで、選択肢Cがより魅力的に見える傾向があります。
囮効果の実例|スマホ料金・学習塾・レストランメニュー
例えば以下のようなもの(すべて例です。実際のものではありません)
- スマホの料金プラン:3GB(2,980円)、20GB(4,980円)、30GB(5,480円)のような構成。20GBを選ぼうとした人が、「わずか500円追加で30GB」と見せられ、つい30GBを選んでしまう。
- 学習塾のコース:週1回(15,000円)、週2回(25,000円)、週3回(30,000円)という設定。週2と週3の差が小さいため、多くの親は「せっかくだから」と週3を選びがち。
- レストランのメニュー:非常に高額な料理を置くことで、他の高めの料理が「お得」に感じられるようにするテクニックもこの効果を利用しています。
囮効果の心理メカニズム|比較・損失回避・正当化の3要素
この効果が生じる理由には、いくつかの心理的メカニズムが関与しています:
- 比較の容易さ:人間は絶対的な価値判断よりも、相対的な比較の方が得意です。明らかに劣る選択肢があると、比較が容易になります。
- 回避的選択:人は損失を避ける傾向があり、明らかに劣る選択肢を避けようとします。
- 正当化のしやすさ:囮があることで、特定の選択をする理由が明確になり、選択の正当化がしやすくなります。
囮効果のマーケティング活用|価格設定・商品ラインナップ・販促
- 価格設定戦略:特定の商品やサービスの購入を促進するために価格帯を設計
- 製品ラインナップ:意図的に「囮」となる製品を導入
- セールスプロモーション:比較対象を提供することで特定の商品の魅力を高める
囮効果の結論|なぜ囮を知るだけで賢い消費者になれるのか
囮効果は日常生活のあらゆる選択場面で影響を与える強力な心理現象です。マーケティングや商品設計において頻繁に利用されていますが、その仕組みを理解することで、より合理的な意思決定が可能になります。消費者として賢い選択をするためにも、この心理効果のメカニズムを知っておくことは非常に重要です。
米田語で解説!囮効果=当て馬の実態を生活感で理解する
ここまでで心理学の辞書的な話は終了。ここからは米田による生活感マシマシにした感じで解説していくよ。
いい?囮効果なんて書くからわかりにくくなるんですよ。だから学術用語はいかん。一言で表現してやろう!
「当て馬」
これにて終了。
※当て馬に様々な意味があることは承知しているけど、多くの人が腑に落ちる表現だから使わせていただきます。
当て馬の典型例|家電・スーパー・ファストフードに潜む囮効果
アリエリーの雑誌購読実験が有名ですけど、世の中には満ち溢れてるよ。当て馬。いくらでも書けると思う、例えば
- 家電量販店:32インチ(29,800円)、42インチ(49,800円)、46インチ(54,800円)のテレビを並べると、42インチからわずか5,000円増で46インチが買える。
- スーパーマーケット:500mlのペットボトル飲料が120円、1Lが160円、2Lが180円という価格設定で、2Lの購入を促進。
- ファストフード:単品(600円)、ドリンク付きセット(800円)、ドリンク・アイス・ポテト付きセット(880円)という価格設定。誰が普通のセット買うの?
どれもこれも、あえて真ん中のを選ぶ方は少数ではないですか?
すべて真ん中にあと少しお金を足すとクオリティや量が増大する。真ん中は完全に上位製品を売るたための「当て馬」。そもそも売る気がないんですよ。もはや「真ん中=生贄」
価格表にそっと添えられた「当て馬さん」のおかげで、私たちは「やっぱり上位の方が得じゃん」と納得して財布を開く。これ、売る側のシナリオにハマってるだけです。
囮効果の本当の狙い|売りたい製品を当て馬で際立たせる仕組み
これだけではないですよ。ただ高額な製品売るための戦略だと思ったあなた、甘い!本命は「もっとも売りたい製品」に当て馬を当てること。
つまり売りたい製品は高額や高品質な製品とは限らず、小売店として一番売りたいものであったりする。つまり
- 一番利益率が高い
- 一定数を売り上げるとメーカーからインセンティブが受け取れる
- 営業月間で数を上げたい
といった製品です。その売りたい製品に対して、ほとんど同じ価格かちょっと低い価格で明確に劣る製品をおく、というのが囮効果の実態です。ね、完全に当て馬でしょう?
ダン・アリエリーの「予想通りに不合理」に結構きつい当て馬のエピソード書いてあるからぜひ読んでみて。あなたが合コンに行くときの必殺技が書いてあるから。内容は私の口からは言えない。けれども読んだ人は笑える必殺技が載っている。ご利用は計画的に。
囮効果に抗うには?|当て馬に惑わされない3つの心得
実際のところ、賢い対策はシンプル。
- 囮と比較せず、その商品だけの価値を考えよう。280円だして付いてくるドリンク・アイス・ポテト、セットがないときにその価格で別口で注文します?
- 「あと少しだけ出せば…」の罠に陥らないように。テレビは50,000円までと決めておけばよい。なんなら予算以上のお金もカードも持たず買いに行きなさい(笑)
- 本当に今2Lの飲料必要?今飲む500mLでいいんじゃない?
結局のところ、商品を選ぶ前に「これは私にとって本当に必要か?」と自問することが最大の防御策だと思う。自分の軸がぶれてはいかん。自分は何を買いに来たか、よーく考えよ。
ちなみに安いのを選ぼうとすると、店員さんから、「あと〇〇円出せばこちらがー」とか言ってくるだろうからね。そん時は「この間のやつきたーっ!」ってこの記事のことを思い出して(笑)
まとめ|囮効果(デコイ効果)=当て馬を見抜けば選択の自由が守れる
囮効果=当て馬。これでもう大筋はOKだと思う。今後、街の中で当て馬さんに出会ったときは、哀れみの目で見てあげてくださいね。当て馬に罪はない、悪いのは製品を並べた側や。今日の買い物で当て馬を見つけたら、この記事の優勝ということでお願いします!
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