米田です。本日も子どもたちの予想以上に不合理な行動を読み解いていきます。
今回のテーマは「子どものデザートセンサー」です。
親がもらってきたり、こっそりと買ってきたり。
夜な夜な食べてやろうと思っていたケーキなどのデザート、冷蔵庫の奥の奥に隠したはずなのに。
冷蔵庫を開けた瞬間、突如飛んでくる声。
「それなに?ケーキ?なに?みせてー?なにー?」
親がこっそり楽しみにしていたデザートは、子どもに秒でロックオンされる。お前はイージス艦か。
この「子どものデザートセンサー」は、親世代には理解不能なほど高感度。今回はこの謎の現象を行動経済学と心理学の視点で解剖してみます。
なぜ秒速で見つけてくるのか?
考えうる心理学的な現象は以下のようなものでしょうか。
1. サリエンシー効果(顕著性効果)|なぜ子どもはケーキを見逃さないのか
特定の刺激や情報が周囲より際立って目に入ってくる認知現象のことをいいます。
例えば、車が好きな人は街の車の特徴をよく見ているし、
ファッションが好きな方は友達の服装をよく見ている。
私は本が好きなので、電車などで人が読んでいる本の裏表紙とかチェックしちゃいます。
これが子どもになると、「自分にとって楽しい・美味しい」情報にスポットライトを当てやすい。
つまりケーキ、フルーツなどの子どもも大好きなものを見つけやすい。ということになりますね。
冷蔵庫に話を移せば、大人は野菜や賞味期限を気にして冷蔵庫を見るけど、子どもにとってはケーキの箱やプリンのパッケージが何より目立つターゲット。いつもは置いていない箱など見つけようものなら、一瞬でロックオンされます。
2. 損失回避バイアス|子どもが「今すぐ食べたい」と主張する心理
かつですよ。一度見つけようものなら、「知らない間に食べられてしまう」という子どもにとってきつい未来を回避するために、全力で損失回避バイアスを発動しています。
多分どの親御さんもやったことがある、「これは苦くて大人しか食べられない」などの詐称は全力で詰められます。だってケーキ食べられちゃうんだよ?子どもにきついですよね(笑)
今要求しないと、損失を被る。だから子どもは必死なんです。
3. 社会的学習理論|親の行動がデザートの価値を高める理由
子どもは観察学習によって行動を学びます。親が「特別なもの」として扱うと、子も同様に特別なものとして学習していくわけです。
お金が大切、食べ物は大切、家族は大切。よく親が発するセリフでしょう。そうして子どもも大切なものを学んでいく。
ということは親が特別感を出してデザートを見ていると、子どもも自然と価値が高いと認識するようになります。ケーキを隠す行為自体が「これは特別に価値があるもの」というシグナルになっている可能性があります。
4. 進化心理学で解く資源獲得本能|なぜ甘いものに反応するのか
またちょっと真面目に進化心理学的に考えてみます。
子どもは栄養価の高い食べ物(特に糖分)に敏感に反応するよう進化してきました。
甘いもの(糖分)を見つけて素早く獲得する能力は、生存に有利だったのかもしれません。飽食の現代社会では逆に生活習慣病などの原因となる要因ですが、その本能は残っているのでしょう。
親の対処行動を金融メタファーで例えると…
私がこの話を思いついた時、証券投資と結びつけてしまいましたよ。
- シェアする:損切りです。ケーキだよ、じゃあ一緒に食べようかという流れ。みんなが平和になりますね。ただし、油断するとひと口の約束がごっそり持っていかれます。マーケット(子ども)の様子は十分に注意を払うように!
- 隠し通す :ハイレバ投資。バレた瞬間に信頼残高ごっそりと減ります(笑)。食べてるときに見つかるのが一番最悪。ただし隠し通せれば一番の利益を得られます。ケーキだと冷蔵庫必須やから、ピーマンなどサリエンシー効果をブロックする野菜あたりでカモフラージュするなどのテクニックが必要です。
子ども相手にデザートを運用するのは、もはや家庭内マーケット。
ボラティリティは無限大で、予測不能な展開が日常茶飯事。
このリスクテイクが痺れるぜ。
まとめ
- 「絶対バレない」と思って冷蔵庫に隠しておく → ほぼ確実にセンサーに引っかかる
- 「デザートは後でゆっくり」 → 奪われて終了
- 「ちょっとならあげてもいいか」 → 自分の分が消滅して後悔
結局、己の欲望を守りたいなら「墓まで持っていく勢いで隠せ」しかない(笑)
子どものデザートセンサーは、サリエンシー効果・損失回避等が組み合わさった高度な「認知チート能力」。
そして親もまた、金融市場さながらの判断を迫られる。ハイボラティリティ投資。
「家庭の冷蔵庫は、心理学と行動経済学の実験場」
次にデザートを隠すときは、この視点を思い出してください。きっと笑えるはずです。
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