家庭で使えるナッジ実践|食卓の順番・お菓子視界対策・辞書習慣・声かけ

用語解説

はじめに|ナッジは家庭から始まる

ナッジ(Nudge)は「そっと後押しする仕組み」。強制や禁止ではなく、ちょっとした工夫で人の行動を自然に変える考え方です。第一弾に引き続き、今回は家庭内での使い方を深掘りしていきましょう。

子どもとの食事や日常のやり取りの中にナッジのヒントがあふれています。ここでは「家庭ナッジ編」として、リアルなエピソードとヒューマンさん×エコノさんの掛け合いを交えながら紹介します。


この記事でわかること

家庭で使えるナッジ

  • 食卓で使えるナッジの実践方法:野菜を先に出す順番のナッジや、お菓子を視界から消す環境デザインで、子どもの食習慣を自然に改善する方法
  • 辞書を使った学習習慣の育て方:スマホ検索ではなく辞書を最初に使うことで、セレンディピティ(偶然の出会い)を生み出し、学びの幅を広げる工夫
  • 心理的リアクタンスを避ける声かけのコツ:「着替えなさい」ではなく「着替えに来たん?」と問いかけることで、子どもの自主性を引き出す方法
  • 親自身へのナッジ効果:親が辞書を開く姿や環境を整える行動が、子どもへの最大の教育になるという二重のナッジ効果
  • 家庭ナッジの注意点と土台:ナッジは魔法ではなく、親子の信頼関係が土台にあってこそ効果を発揮することを理解する

食卓ナッジ|子どもが野菜を食べる仕組みとお菓子対策

子どもは基本「好きなものから食べる」わけです。大人みたいに「美味しいものはあとに残す派」なんて発想はほとんどありません。

挙句ですよ、どこに「栄養バランス取らなあかんからピーマン食うか」みたいな子どもいるんですか?正直なところ、バランスよくご飯を食べるというのは、子どものためを思っていることは十分分かりますが、親のエゴの側面があるわけです。

ではどうするか?さすがにチョコレートとフルーツだけ食べさせるわけにはいきませんので、いくつか戦略があります。出す順番と視界のナッジです。


出す順番ナッジで野菜を自然に食べさせる

当家でよくやってる方法。メインがまだ仕上がっていないときに、

「まだできてないから、とりあえずサラダ食べときー」

と先に野菜を出す。(ぶっちゃけメインが仕上がっていても知らん顔してやってる時あります。ごめん。君のためを思ってだ。)

すると子どもは自然に食べ始めることがあります。

「野菜も食べなさい!」と叱らなくても、「腹減ったしとりあえず今あるものを食べる」というシンプルな心理が働く。これは、時間をデザインするナッジ

子どもに栄養バランスを意識させるのは無理だから、親のエゴを”環境設計”でやんわり通すわけです。もちろん「えー、野菜やだー」とか言いますけどね。でもですよ

  • メインの美味しそうな肉の横にあるサラダ
  • サラダ単品

どっちに手が出ると思いますか?百発百中の戦略ではありませんけれども、やってみる価値はありますよ。割とこの戦略はやっている人多いと思いますが、ナッジの側面があったわけですね。


お菓子を視界から隠すナッジ|ばかうけ事件

逆に「ご飯まだー?」と言っているときに、ばかうけやカントリーマアムがテーブルに転がっていたら?あの子たちは一瞬で開けます、完食します。サラダの分の胃袋は、ばかうけで満たされます。

だから親ができるのはシンプル。お菓子は視界から消すこと。

環境にちょっと手を入れるだけで、「つい食べちゃう」を防げるんです。なんなら親もそうでしょう?視界にあるチョコレートつまんでいませんか?ドキッとした人は、明日から子どものばかうけには注意できませんね。

ヒューマン
ヒューマン

結局さ、子どもって好きなものから食べるよな。野菜からなんて食べへんわ。

エコノ
エコノ

せやけど”時間をデザイン”すれば自然にサラダが減っていく。しかもテーブルにばかうけ置いてたら、そら一瞬で消えるやろ?

ヒューマン
ヒューマン

せやな!うちなんかご飯前に袋だけ残ってたわ。

エコノ
エコノ

意思の問題やなくて、環境の問題や。視界から消すだけで行動は変わるんやで。

ヒューマン
ヒューマン

そやな。俺も視界からビール消しとこうかな。

エコノ
エコノ

でも多少は飲みたいやろ?1本だけ冷やしとけ、残りは常温にしておくのがええな!2本目が冷えるまでに、飲みたい気持ちも冷えるで!お酒も人生の楽しみや、適量にする工夫がええんとちゃう?


辞書ナッジ|学びの習慣をつくる二重の効果

次は調べ物に移ります。こちらも子どもネタ。子どもの「なんでなんで攻撃」にさらされているとき、スマホ検索は早いし便利。

画像や動画まで出てくるし、やっぱり分かりやすい!でも、子どもには「とりあえずググればいい」と思ってほしくない。

私も学生時代は周りが電子辞書に移行する中、紙の辞書を使っていました。同音異義語や前後の単語が自然と目に入るから。今はこの経験がこのブログ書きにも活かされていると思っています。

最初の一手は辞書にする──ここは子どもにも伝えたい。

辞書は答えに一直線じゃなく、道中でいろんな言葉に出会える。その偶然の寄り道こそが学びを広げる。つまり、セレンディピティ(偶然の出会い)が仕込まれているわけですね。

我が家では私が座る食卓の上に辞書を常備してます。秒で開けます。


ヨットとボートの違い事件|辞書とセレンディピティ

うちの子が「ヨットとボートって何が違うの?」と聞いてきたときがありました。スマホなら一瞬で答えが出ます。でも、まず辞書を一緒に読みました。ページをめくるうちに、「似てるけど違うんやな」と子ども自身が気づいていく。

「帆が付いてるんか」

「ボートはエンジン」

「帆ってなんで進むんだろう」

その辺にあったレゴと紙を使って、帆の仕組みを即席で説明。ただの語彙調べが、ちょっとした理科実験タイムになりました。スマホ検索だけなら「ヨット=帆のある小型船」で終わり。

でも辞書とレゴを組み合わせたことで、言葉の意味+仕組みの理解へと広がったんです。


二重のナッジ効果|親と子どもへの同時アプローチ

実のところ、この辞書ナッジには二重の仕掛けがあります。

  • 親へのナッジ:私自身がスマホに逃げず、辞書を開く習慣がつく
  • 子へのナッジ:「調べ物は辞書」という思考が自然にできる

結局のところ、「親がどう調べるか」を見せるのが最大のナッジ。背中を見せることで、子どもの学びのスタイルが形づくられていくわけですね。

そりゃそうでしょう?家庭で辞書を開いていない家庭で、自然に子どもが辞書を開くようになるわけがない。いかがでしょう?

ヒューマン
ヒューマン

いや正直、スマホの方が楽やん?画像も動画も出るし。

エコノ
エコノ

それはそうや。せやけど辞書は”寄り道”がある。セレンディピティやな。その偶然の出会いが学びの幅を広げるんや。

エコノ
エコノ

自身、自信、地震…どや?全部一気に学べるで?

ヒューマン
ヒューマン

なるほど…親がまず辞書に手を伸ばす姿、その背中が一番のナッジか。

エコノ
エコノ

せや。スマホも否定はせん、使い分けやな


朝の着替えナッジ|心理的リアクタンスを避ける声かけ

朝の忙しい時間、親の口からつい出るのが「早く着替えなさい!」。でもこれ、なかなか子どもが動かない。理由は心理的リアクタンス。人は「自由を奪われた」と感じると、反発して逆をしたくなるんです。未就学児や小学校低学年は特にこの反発が強い。

何度となく、私も着替えなさいと言ったものです。そこで効くのが声かけのフレーミング。「着替えなさい!」ではなく、「お、着替えに来たん?」と問いかけてみる。

これも100%効果があるわけではないですが、当たればラッキーですね。「そうやで?」とか言って着替え始める。自分で選択して着替えた、という意識が残るから、やらされた感がなくなり、互いに気持ちよくなります。


ヒューマン
ヒューマン

ほんまこれやな。『着替えろ!』言うたら、逆にゴロゴロしよる。何やねんもう遅刻するわ。

エコノ
エコノ

それがリアクタンスや。命令されると自由を奪われた気がして動きたくなくなる。

エコノ
エコノ

せやけど『着替えに来たん?』と既成事実みたいに言うと、すっと動くんや。

ヒューマン
ヒューマン

不思議なもんだよな。自分で決めたことやとすーっとやるんやね


注意点|家庭ナッジは信頼関係が土台

ナッジは魔法じゃありません。

  • 効果には個人差があります。もちろん確実に効果があるわけではない。
  • 発達段階によって向き不向きがある。
  • 幾度も繰り返していると、子どもの方も理解してくる可能性もある。

何より大切なのは、親子の信頼関係です。これさえあれば、ナッジなんていらなくなるかもしれない。ナッジは「騙された!」と思われてしまったら逆効果。支配や操作ではなく、お互いが楽になる工夫として活かしましょう。


まとめ|子育てに効く家庭ナッジの実践例

家庭できるナッジ

  • 食卓ナッジ:サラダを先に出し、お菓子は視界から消す。時間と環境のデザインで食習慣を変える
  • 辞書ナッジ:最初の一手は辞書に。セレンディピティと親の背中が最大の教材
  • 着替えナッジ:声かけを工夫して心理的リアクタンスを回避する
  • 信頼関係が土台:最後にはナッジなんて不要になれば理想

家庭は小さな実験場。ナッジをちょっと仕込むだけで、怒鳴る回数が減り、子どもが自然に動き出します。親にとっても子どもにとっても、ラクでハッピーな暮らし方のヒントになるはずです。

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました