利用可能性ヒューリスティックとは?意味と心理学的な定義・概要
利用可能性ヒューリスティックとは、人が物事の頻度や確率を判断する際に、思い浮かびやすい事例や記憶に基づいて判断する傾向のことです。これは認知バイアスの一種で、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーによって提唱されました。
利用可能性ヒューリスティックの仕組み|脳が誤解する確率判断のプロセス
私たちの脳は、情報処理の効率化のために様々な「近道」(ヒューリスティック)を使います。利用可能性ヒューリスティックの場合は
- 思い出しやすい出来事を、頻繁に起こると考える
- 最近経験した記憶に過度に影響される
- メディアやSNSでよく触れる事柄を過大評価する
利用可能性ヒューリスティックの具体例|日常・投資・健康に潜む誤判断
以下のような日常的な例で利用可能性ヒューリスティックが働いています:
- 飛行機事故のニュースを見た後、飛行機の危険性を過大評価する。実際には自動車事故の方がはるかに多く、死亡者数でみれば圧倒的に飛行機のほうが安全である。
- 身近な人が病気にかかると、その病気の発生率を高く見積もる
- 最近読んだ本や見た映画の影響を受けて、関連する事柄の発生確率を高く見積もる
- 投資判断において最近のニュースや成功事例に影響される
利用可能性ヒューリスティックを防ぐ方法|正しい意思決定のための対策
このバイアスに対処するためには、以下のような方法が有効です
- 統計データや客観的事実に基づいて判断する習慣をつける。
- 複数の情報源から情報を集め、バランスの取れた視点を持つ。
- 自分の判断に疑問を持つ。自身にバイアスが掛かっていることを疑う。
- 重要な意思決定の前に時間をおく。感情的な判断はバイアスを伴うことが多い。
利用可能性ヒューリスティックのまとめ|バイアスを理解して賢く判断する
利用可能性ヒューリスティックは、私たちの日常的な判断から重要なビジネス決定まで広く影響を及ぼしています。これは人間が手近な例に対して重きをおいてしまうことから発生します。
このバイアスを認識し対策を講じることで、より合理的な意思決定ができるようになります。
利用可能性ヒューリスティックを理解することは、日々の判断や意思決定において非常に重要です。特にメディアの影響が強い現代社会では、センセーショナルなニュースに触れることで、実際よりもリスクを過大評価してしまうことがあります。冷静な判断のためには、感情に流されず、統計的な事実に基づく思考を心がけましょう。
米田語解説
利用可能性ヒューリスティック、実生活での典型例はやっぱり保険だなー。
「知人友人ががんや長期入院になった、心配になってがん保険・医療保険に入った」
というやつ。正直なところ、知人友人がそのような状況になっても、あなたが同じ状況になる確率って上がらないのよ。
※厳密には近しい家族だと遺伝的な要因がからむため、事前確率が高くなるという疾患もあるけどね。
でも友達くらいなら自分の健康には関係ないでしょ?これが日常生活での典型的な利用可能性ヒューリスティックとその結果だと思う。保険は感情で入るものではない、実利で入るもの。ちなみに保険の営業さんはこのあたりの心理的テクニック、ガンガンに利用してくるから気をつけてね。
「身近にがんや長期入院になった人、いませんか?」
そりゃ探せばいるでしょうよ。いますと答えると
「今や2人に1人が〜」とか始まります。「います」って言わせて、そこから話をつなげるのが彼らのテクニックだ。
保険などの契約を判断するときは感情ではなく事実に基づいて考えること。「ある人に起こったこと」ではなく、「統計的にどれくらいの確率で起こるのか」を重視すべき。少なくとも、保険を売っている会社はその統計をしっかりと持っている。
感情で決めるとバイアスの餌食、数字で決めると賢明な判断。
ヒューマンさん×エコノさん劇場
ヒューマンさん(人間代表):昨日映画で007見たんだよー。なんだか朝から視線を感じる・・・。
エコノさん(合理的経済人): アホか。お前ん家の隣にMI6おるんか?確率0やぞ」
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