確証バイアスの原典|2-4-6課題と4枚カード問題をWasonの論文で読む

確証バイアス Wason 1960 / 1968 Quarterly Journal of Experimental Psychology 原典解説
この記事でわかること

  • Peter Wason が1960年に報告した「2-4-6課題」で、29人中6人しか最初の宣言で正解できなかったこと
  • 正解した人と外した人を分けたのは、自分の仮説に合わない例を試した比率だったこと
  • 1968年の「4枚カード問題」で、被験者の半数が同じ2枚を選び、反証になりうるカードを選んだのは16.7%だったこと
  • Wason が2種類の矯正手続きを試し、どちらも失敗したこと

この記事は、確証バイアスの原典をたどるシリーズの第1回です。全5回で、実験室の推論課題から対人関係、政治的態度、そして「そもそもこれはバイアスなのか」という再定義までをたどります。今回はその出発点、人が自分の仮説を壊しに行かないという現象が最初に実験で捕まえられた瞬間を扱います。


導入:3つの数の規則を当ててください

まず、解いてみてください

ここに3つの数の並びがあります。

2, 4, 6

この並びは、私が頭の中に持っているある規則に当てはまっています。あなたの仕事は、その規則を当てることです。

確かめる方法はひとつだけ。あなたが「これも当てはまるはずだ」と思う3つの数を出してください。私は「当てはまる」か「当てはまらない」かだけを答えます。何度でも試せます。確信が持てたら、規則を宣言してください。

先を読む前に、あなたが最初に試す3つ組を、3つ書き出してみてください。

  1. ____ , ____ , ____
  2. ____ , ____ , ____
  3. ____ , ____ , ____

書きましたか。答え合わせは記事の中ほどでします。

ヒューマン
ヒューマン

書いたで。8, 10, 12 と、20, 22, 24 と、100, 102, 104。ぜんぶ「当てはまる」やろ?

エコノ
エコノ

せや、3つとも「当てはまる」や。ほな聞くけど、3回やって「当てはまらない」は何回返ってきた?

ヒューマン
ヒューマン

……0回やな。全部当たりや。

エコノ
エコノ

そこ、覚えといてや。3回とも、自分の予想が外れるかもしれん数を一回も出してへん。それがこの記事の出発点になる。

確証バイアスとは?──今回読む原典

確証バイアス(confirmation bias)とは、自分がすでに持っている仮説や信念に合う情報ばかりを探し、合わない情報を探しに行かない傾向のことです。

今回読んでいく論文はこちらです。

Wason, P. C. (1960). On the failure to eliminate hypotheses in a conceptual task. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 12(3), 129–140.

Wason, P. C. (1968). Reasoning about a rule. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 20(3), 273–281.

どちらも Peter Wason が、この現象を最初に実験で捉えた論文です。1960年が2-4-6課題、1968年が4枚カード問題で、1968年のほうは「この誤りを直せるか」を試しています。なお、この2本の論文に「確証バイアス」という言葉は出てきません。Wason が書いたのは、仮説を「消去できない」ことについてでした。

この論文の結論(先にいいます):人は仮説や規則を確かめるとき、仮説が正しければ起きるはずのことを見に行き、間違っていれば起きるはずのことをほとんど見に行かない。抽象的な記号の課題でも、図形と色の課題でも、反証となる事例を正しく答えられる訓練を直前に受けた後でも、この傾向はほとんど変わりませんでした。

先に用意する2つの道具

先に2つだけ、用語を解説しておきます。

【枚挙的帰納と消去的帰納】
「カラスはみな黒い」という仮説を確かめるとき、黒いカラスを1羽、2羽、3羽と数えていくのが枚挙的帰納です。一方、白いカラスがいないかを探しに行くのが消去的帰納です。枚挙をどれだけ積んでも仮説は確実になりませんが、消去は一発で仮説を殺せます。Wason が1960年の論文で引いている Von Wright の言い方を借りれば、「法則を確証する事例は、その法則を検証しない。しかし反証する事例はいずれも、その法則を偽とする」。

【十分条件と必要十分条件】
「AならばB」は、AがBの十分条件だと言っているだけです。BならばAとは言っていません。日常語の「ならば」はこの2つをよく取り違えます。この取り違えが、後半の4枚カード問題で決定的な役割を果たします。

ヒューマン
ヒューマン

つまり 8, 10, 12 って出したんは、枚挙のほうってことか。

エコノ
エコノ

せや。「2ずつ増える」っちゅう仮説をもう持ってて、それに合う例だけを3回出した。規則がほんまは別もんやったとしても、あの3回では気づかれへん。

ヒューマン
ヒューマン

黒いカラスを3羽数えただけ、か。

エコノ
エコノ

そういうこっちゃ。

仮説を壊しに行かない:2-4-6課題(Wason 1960)

最初のブロックでわかるのは、「正解した人と外した人を分けたのは、自分の仮説に合わない例を試したかどうかだった」ということです。

課題:正解は「増加する3つの数」

Peter Wason は1960年、心理学部生29名を対象に、いまあなたが解いた課題を実施しました。

正解の規則は、「大きさの順に増加する3つの数」でした。2, 4, 6 はもちろん当てはまります。しかし 1, 2, 3 も、5, 100, 3000 も当てはまります。つまり正解は、多くの被験者が最初に思いつく「2ずつ増える」や「等差数列」よりも、はるかに広い規則でした。

時間制限はなく、何度でも3つ組を試せます。ただし教示では「できるだけ少ない数の3つ組で」規則を見つけるよう求められ、同時に「強く確信するまでは宣言しないように」とも言われていました。宣言が間違っていれば、また試行に戻れます。

結果:最初の宣言で正解したのは29人中6人

最初の宣言で正解できたのは、29人中6人でした。

22人が最初に誤った規則を宣言し、1人は最後まで宣言しませんでした。2回目の宣言で10人が正解に達し、3回目で4人、5回目でようやく1人が正解しています。

誤答の内訳を見ると、最初の宣言では「2ずつ増える間隔」が8人、「最初の数の倍数」が4人、「連続する偶数」が3人、「等差数列」が3人でした。興味深いのは2回目の宣言で、「2ずつ増える間隔」は1人に減る一方、「等差数列」が6人に増えていることです。被験者は仮説を捨てたのではなく、少しだけ緩めていました。

正解した人と外した人を分けたもの

ここがこの論文の核心です。Wason は被験者が宣言前に試した3つ組を分類し、自分の仮説に合わない(incompatible)3つ組を試した数を、合う(compatible)3つ組を試した数で割った比を計算しました。これが高いほど、自分の仮説を壊しに行ったことになります。

初回正解群(6人)初回誤答群(22人)
消去/枚挙の比1.790.24
宣言前に試した3つ組の数8.03.68
「当てはまらない」返事の比率0.210.04

消去/枚挙の比の差は p < .001 です。正解した人は、自分の仮説に合う例と合わない例をおよそ1対1.8の割合で試していました。外した人は、4回に1回も合わない例を試していません。

宣言前の試行回数も違います。正解群は平均8.0回(範囲5〜9)試してから宣言したのに対し、誤答群は平均3.68回(範囲1〜7)で宣言に踏み切っています。同じ教示のもとで正解群は8回試しているのですから、誤答群は少ない確認で満足していたわけです。

そして「当てはまらない」という返事を実際に受け取った比率は、正解群で0.21、誤答群で0.04。つまり誤答群は、試行の96%で「当てはまる」と言われ続けていた。仮説がどんどん確からしく感じられていったはずです。

ただし、誤答群の22名がみな同じだったわけではありません。1回だけ間違えた13名のうち10名は、次の宣言で正解しています。Wason 自身も、この13名については「数列の問題には正解が1つしかない」という思い込みが働いた可能性を挙げています。枚挙から抜け出せなかったとはっきり言えるのは、2回以上間違えた9名のほうです。

Wason (1960) 2-4-6課題:確証だけを行った被験者(プロトコルNo.5)と反証を試した被験者(プロトコルNo.2)の試行を段階ごとに比較した図

同じ規則を、別の言葉で

定量データよりも印象に残るのは、Wason が採録したプロトコルのほうかもしれません。

誤った規則を宣言した22例のうち18例で、被験者が自分で出した最初の3つ組に書いた理由が、そのまま第1回の宣言規則の少なくとも一部になっていました。最初に立てた仮説を、宣言するまで一度も動かしていなかったということです。

Wason によれば、3名の被験者が、すでに否定された規則を、言葉を変えただけで「新しい仮説」として宣言しました。さらに3名が、誤りを告げられた直後、新しい数を1つも試さないうちに規則を言い直しています。採録された例から3つを並べます。

  • 「真ん中の数は両端の平均」が否定された19歳の学生は、次に 6, 10, 14 を「最初の2つの差を2番目に足すと3番目になる」という理由で出しました。続けて 7, 11, 15 と 2, 25, 48 を、わざわざ「この説を試すため」と書き添えて出し、その説を宣言します。中身は、否定されたばかりの規則とまったく同じです。この学生は最後に正解にたどり着けず、45分で降参しました。
  • 「基本の数、その2倍、その3倍」が否定された被験者は、「2番目の数は1番目の2倍で、3番目の3分の2」と言い直して宣言しました。これも同じ規則です。
  • 23歳の学生は、「一定の間隔で増える3つの数」が否定された直後、新しい数を1つも試さないうちに、こう言い直しました。「1番目の数は自由に選べる。2番目は1番目より大きく、自由に選べる。3番目は、2番目が1番目より大きいのと同じだけ、2番目より大きい」。言葉は何倍にも増えましたが、中身は1ミリも動いていません。

Wason はこれを、魔術的思考になぞらえています。呪文が効かなかったとき、人は呪文そのものを疑わず、唱え方が悪かったのだと考える。正しく唱えさえすれば効いたはずだ、と。被験者も同じでした。否定されたのは規則なのに、言い方を変えただけで新しい規則になったと思い込み、同じ呪文を少し丁寧に唱え直していたのです。

ヒューマン
ヒューマン

言い方変えただけで新しい説のつもりって、そら45分かかるわ。

エコノ
エコノ

笑うけどな、あんたもさっき同じことしてたで。

ヒューマン
ヒューマン

……100, 102, 104 まで出したけど、あれ 8, 10, 12 と同じことしか確かめてへんな。

エコノ
エコノ

同じや。数字は大きなったけど、試してる仮説は1ミリも動いてへん。試すべきやったんは、たとえば 1, 2, 3 や。これが「当てはまる」って返ってきた瞬間に、「2ずつ増える」は死ぬ。

ヒューマン
ヒューマン

自分の仮説が死ぬほうに賭けなあかんかった、と。

エコノ
エコノ

せや。予想どおりの数を3回試すより、予想が外れるかもしれん数を1回試すほうが情報は多い。


わかっているのに選べない:4枚カード問題(Wason 1968)

次のブロックでわかるのは、「反証になる事例はどれかを正しく答えられる人でも、どのカードを確かめるかを選ぶ段になると、反証になりうるカードを選ばない」ということです。

その前に:記号をひとつ用意する

1960年は規則を発見する課題、1968年は与えられた規則を検証する課題で、形はまるで違います。それでも同じ話として並べるのは、失敗の形が同じだからです。どちらでも被験者は、仮説や規則が正しければ観察されるものを見に行き、間違っていれば観察されるものを見に行きませんでした。課題の型を変えても同じ失敗が出るなら、それは課題の性質ではなく、人間側の性質である可能性が高くなります。

ただし、2つを結びつけるのは本記事の読み方です。Wason 自身は1968年の論文で1960年の研究を引いておらず、4枚カード問題の失敗を、条件文から対偶を導く推論の難しさとして扱っています。本記事ではこの共通する失敗を、ひとまず「確証バイアス」と呼んでおきます。このラベルが妥当かどうかは、シリーズの後半で改めて検討します。

ここで、後半で使う記号を導入しておきます。検証する規則はいつも「pならばq」の形をしています。

  • p … 規則の前件(「もし〜なら」の部分)が成り立っている事例
  • not-p … 前件が成り立っていない事例
  • q … 規則の後件(「〜である」の部分)が成り立っている事例
  • not-q … 後件が成り立っていない事例

「pならばq」が偽になるのは、pであってqでないという組み合わせが存在するときだけです。したがって確かめるべきは p と not-q の2つ。これだけです。

2問目:どのカードを裏返しますか

2つ目の課題です。先ほどと同じく、読む前に解いてください。

2問目。どのカードを裏返しますか

テーブルの上に4枚のカードが置かれています。すべてのカードは、片面にアルファベット、もう片面に数字が書かれていることがわかっています。

見えている面は、それぞれ次のとおりです。

D3B7

ここで、次の規則が与えられます。

どのカードも、片面に D があるならば、その裏面には 3 がある。

あなたの仕事は、この規則が正しいか誤りかを判定するために、裏返す必要があるカードをすべて挙げることです。必要のないカードは裏返してはいけません。

どれを選びますか。先を読む前に決めてください。

実験I・II:2種類の矯正手続き

この課題自体は、すでに予備研究で、ほぼ全員が p を選び、60〜75%が q を選び、not-q を選ぶのは少数、not-p を選ぶ人はほとんどいない、という結果が出ていました。1968年の論文で Wason がやろうとしたのは、現象の再確認ではなく、それを直すことでした。彼は2種類の矯正手続きを試しています。

【実験I(34名)】
実験群18名には、選択を終えたあと、実験者が各カードを指して「この裏に何があれば規則は偽になるか」を言わせました。対照群16名には、「もう一度考え直してください」とだけ伝えました。自分の口から反証の形を出させれば、選択を改めるだろうという読みです。

Wason (1968) 実験I:最初の選択、偽の投影(治療)、選び直しの3段階で、反証カード7(not-q)が選ばれなかった経緯を示した図

図の右端を見てください。「7 の裏に D があれば規則は偽になる」と自分の口で言えた8名のうち、選び直しで 7 を加えたのは3名でした。残りの5名は、反証の形を口にした直後に、確かめるカードとしては 7 を選ばないままでいます。

【実験II(26名)】
今度は順番を逆にしました。選択課題の前に訓練を置きます。「片面に四角があるなら、もう片面に赤い落書きがある」という規則について4枚のカードを見せ、どれが規則を反証する事例で、どれが検証する事例かを答えさせたのです。

Wason (1968) 実験II:訓練では全員が反証事例を正しく選べたのに、直後の選択課題では実験群と対照群に差がなく、正解(p と not-q)に届いたのは26名中2名だったことを示した図

訓練では、誰ひとり間違えませんでした。それでも直後の選択課題では、訓練を受けた群と受けていない群で選び方がほとんど変わりません。反証がどれかを答える力と、反証を確かめに行く判断とは、別々に動いている。2種類の矯正手続きが示したのは、この2つが地続きではないということでした。

結果:反証になるカードを選んだのは16.7%

両実験を合算すると、15通りありうる選択の組み合わせのうち、半数(50%)の被験者が p と q の2枚だけを選んでいます。そしてnot-q を選んだのは16.7%でした。

冒頭の課題で言えば、D と 3 を裏返した人が最も多く、D だけを裏返した人がそれに次ぎます。

7 を裏返して D が出てくれば、規則はその場で死にます。3 を裏返して何が出てきても、規則は死にません。裏返す価値があるのは 7 のほうなのに、ほとんど誰も選ばない。

さらに、選択課題の後の様子も記録されています。実験IIでは両群を合わせて、17名中6名が「p を not-q に投影すれば規則が偽になる」ことを言葉にできませんでした。そして not-q を選ばなかった24名のうち、選択課題で自分が誤ったと述べたのは9名だけでした。

ヒューマン
ヒューマン

D と 3 を選んだわ。けど、訓練では全員正解してたんやろ? できるのに、やらへんってことか。

エコノ
エコノ

そこがこの論文の要点やねん。訓練を受けた人らは、「反証事例はどれか」って直に聞かれたら全員答えられた。けど「どれを裏返すか」って聞かれた途端、その知識が使われへんようになる。わかってることと選ぶことが、別々に動いとるんや。

エコノ
エコノ

ただな、それで「能力はあるのに使わんだけ」と言い切れるわけでもない。Wason 自身は論文の結びで、頭のええ大人でも、こういう形式的な推論の力がまだ育ちきってへんのちゃうか、と問うとる。能力の問題か使い方の問題かは、この論文では決着してへん。


日常への接続:あなたが書いた3つの数列

記事の冒頭で、あなたは3つの数列を書きました。それをもう一度見てください。

おそらく3つとも、あなたが最初に思いついた仮説に当てはまる数列だったはずです。あなたは3回とも「当てはまる」という返事を受け取り、そのたびに確信を強めた。そして一度も、自分の仮説が死ぬ可能性のある問いを投げなかった。

4枚カードでも同じことをしています。あなたは規則に名前が出ているカードを裏返そうとした。名前が出ていない 7 のカードは、関係ないものとして視界から消えていた。

同じ構造は、仮説が数列でなくなっても残ります。たとえば「うちの子の成績が下がったのは、ゲームのせいだ」と考えたとしましょう。

  • 確かめに行くのは、ゲームをした日(p)と、点が悪かった日(q)
  • 見に行かないのが、点が良かった日(not-q)

もし点が良かった日にもゲームをしていたなら、少なくとも「ゲームをすれば点が下がる」という単純な形では、その仮説は成り立ちません。ところがその日は、確かめる対象として意識に上がってこない。カードは伏せられたまま、テーブルの端に置かれています。

この対応づけが説明するのは、どこを見に行くかという構造までです。日常の判断が実験室と同じ確率で失敗するとか、この喩えどおりに行動を変えれば正しく判断できるようになるとか、そこまでは原典から出てきません。Wason が示したのは、抽象課題における選択の偏りです。そこから先は、第2回以降で別の研究を積み上げていきます。

この記事のまとめ

  • Wason (1960) の2-4-6課題で、最初の宣言で正解できたのは 29人中6人
  • 正解群と誤答群を分けたのは、自分の仮説に合わない数列を試した比率(1.79 対 0.24)
  • 誤答群は試行の96%で「当てはまる」と言われ続け、平均3.68回で宣言に踏み切った
  • 3名の被験者が、否定された規則の言い換えを「新しい仮説」として宣言した(Wason はこれを魔術的思考になぞらえた)
  • Wason (1968) の4枚カード問題で、50%が p と q の2枚だけを選び、not-q を選んだのは16.7%
  • 訓練段階では全員が反証事例を正しく特定していた。
  • ただし、初回の誤答がすべて反証の回避によるとまでは言えない(1回だけ間違えた13名のうち10名は、次の宣言で正解)
  • 扱ったのは、いずれも抽象的な記号・図形の課題

執筆後記

書きながら気づいたことがあります。2, 4, 6 を見て「2ずつ増える」と考えるのは、雑な推論ではありません。規則が「増加する3つの数」ほど広いなら、例としてきれいな 2, 4, 6 が出てくるのは出来すぎた偶然です。細かい仮説のほうが、目の前の例をうまく説明してくれますからね。

実は Wason 自身も、似たことを書いています。1回だけ間違えた学生たちについて、正解の「大きさの順に増える」はあまりに当たり前すぎて、わざわざ候補に挙げる気にならなかったのかもしれない、と。数列の問題には気の利いた答えが1つあるはずだ、という思い込みも挙げています。

これ、リンダと一緒やん、と思いました。連言錯誤のシリーズで読んだリンダ問題では、「銀行員」より「フェミニスト運動をしている銀行員」のほうがもっともらしく感じられました。細かい物語のほうが、それらしく見える。2-4-6課題の被験者も、細かい物語を選び、その物語が壊れない例ばかりを試していました。リンダでは細かい物語が確率の判断を狂わせ、2-4-6では細かい物語が検証の手を縛る。人間は物語を好む動物と言われていると思います。何にでも細かいストーリーを持たせた方がしっくり来る生き物なのですね。

参考文献

  • Wason, P. C. (1960). On the failure to eliminate hypotheses in a conceptual task. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 12(3), 129–140.
  • Wason, P. C. (1968). Reasoning about a rule. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 20(3), 273–281.

原典で殴るシリーズ(薄味まとめに飽きた人向け)

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